- 2008-08-22 (金) 23:59
- 路地裏探検隊
源氏物語千年紀 #5・夏休みレポート #7
BGM : Love Love Love / Tristan Prettyman
千年の昔 宇治の地は
新都である京都から旧都である奈良に落ちる途中にあり
侘びしくまた寂しい土地として「憂し(うし)」ともよばれました
源氏物語の中でも宇治を舞台として繰り広げられる箇所は
その独特の世界観から「宇治十帖」として親しまれています
今回はその「宇治十帖」の古跡をあらすじとともに紹介していきます^^
宇治十帖(一)橋姫
「その頃、世に数まへられ給はぬふる宮おはしけり。」と「宇治十帖」は書き始められる。
光源氏の異母弟の八宮は、北方亡き後、宇治の地で失意と不遇の中に、二人の姫君を大切に
育てながら、俗聖として過ごしておられた。世の無常を感じていた薫君は、宮を慕って、仏道
修行に通い、三年の月日がながれた。晩秋の月の夜、薫君は琵琶と琴を弾かれる姫君たちの
美しい姿を垣間見て、「あはれになつかしう」思い、
橋姫の心をくみて高瀬さす 棹のしづくに袖ぞぬれぬる
と詠んで大君に贈った。出家を望まれる八宮は、薫君を信じ、姫君たちの将来をたのまれる。
その後、薫君は、自分が源氏の実子ではないという出生の秘密を知ることになる。
宇治十帖(二)椎本
春、花の頃、匂宮は、初瀬詣の帰路、宇治の夕霧の山荘に中宿りし、お迎えの薫君やお供の
貴族たちと音楽に興じた。楽の音は対岸の八宮の邸にもよく通い、八宮は都にいられた昔を
偲ばれた。薫君から二人の姫君のことを聞き、ゆかしく思っていた匂宮は、宇治に消息を
送ったが、返事はいつも妹の中君がなさるのだった。薫君は八宮を仏道の師と仰いで、宇治を
訪れ、姉の大君に強くひかれていく。八宮は死期の近いことを感じ、姫君たちに身の処し方に
ついて遺言し、信頼している薫君に姫君を頼み、秋も深いころ、阿闇梨の山寺で、さみしく
静かに生涯を閉じられた。
たちよらむ蔭と頼みし椎が本 むなしき床になりにけるかな
宇治十帖(三)総角
八宮の一周忌がめぐって来た。薫君は仏前の名香の飾りに託して、大君への想いを詠んだ。
総角に長き契りを結びこめ おなじ所によりもあはなむ
大君は父君の教えに従い、自らは宇治の山住みで果てる意思が堅く、妹の中君をこそ薫君に
委ねたいと望まれた。薫君は中君と匂宮とが結ばれることによって、大君の心を得ようと
されたが、意外な結果に事が運ばれてしまう。匂宮は中君と結ばれたが、気儘に行動され得ない
御身分故、心ならずも宇治への訪れが遠のく。大君は「亡き人の御諌めはかかる事にこそ」と
故宮をしのばれ、悲しみのあまり、病の床につき、薫君の手あつい看護のもとに、冬、十一月に、
薫君の胸に永遠の面影を残して、帰らぬ人となった。
宇治十帖(四)早蕨
年改まり、宇治の山荘にも春が来た。今年も山の阿闇梨から蕨や土筆などが贈られてきた。
中君は亡き父君や姉君を偲びつつ
この春はたれにか見せむ亡き人の かたみにつめる峰の早蕨
と返歌なさった。
二月の上旬、中君は匂宮の二条院へ迎えられ、行先の不安を感じつつも、幸福な日々が続く。
夕霧左大臣は、娘の六君を匂宮にと思っていたので、失望し、薫君にと、内意を伝えたが、
大君の面影を追う薫君は、おだやかに辞退した。花の頃、宇治を思いやる薫君は、二条院に、
中君を訪ねては懇ろに語るが、匂宮は二人の仲を、疑い始める。
宇治十帖(五)宿木
亡き大君を忘れかねる薫君は、いつしか現し身の中君に想いをよせるようになった。中君は
その真情に絆されはするが「うとましく」も思われる。二条院に中君を訪れた薫君は宇治に
大君の人形を造り勤行したいと語る。中君は異母妹の浮舟が大君に似通っていることを告げる。
秋、薫君は宇治の山荘を御堂に改造することとし、弁尼を訪れる。そして共に大君の思い出に浸り、
宿りきと思い出でずば木のもとの 旅寝もいかに寂しからまし
と口ずさみ、紅葉を中君への土産にお持たせになり、匂宮に恨まれる。
中君は男子御出産、薫君も心すすまぬまま、女二宮と結婚された。其の後、宇治を訪れた薫君は、
偶然、浮舟を覗き見て、大君と全く瓜二つなのに驚き、強く心ひかれてゆく。
宇治十帖(六)東屋
浮舟の母は、今は常陸介の後妻となっていた。浮舟には左近少将という求婚者がたが、少将は、
浮舟が介の実子でないと知ると、財力目当てで浮舟の義妹と結婚してしまう。この破談に浮舟を
不憫に思った母は、縁を頼って二条院にいる中君に預けることにした。
ある夕暮、ふと匂宮は、西対にいる浮舟を見て、その美しさに早速言い寄った。驚いた母は、
娘の行く末を案じ、三条辺りの小家に浮舟をかくした。晩秋、宇治を訪れた薫君は、弁尼から
浮舟の所在を聞き、ある時雨模様の夜に訪ねて行く。
さしとむる葎やしげき東屋の あまり程ふる雨そそぎかな
翌朝、薫君は浮舟を連れて宇治へと向かった。薫君にとって浮舟は、亡き大君の形見と思われた。
宇治十帖(七)浮舟
正月、中君のところに宇治から消息があった。浮舟のことを忘れられない匂宮は、家臣に
尋ねさせたところ、まさしく浮舟は、薫君にかくまわれて宇治にいることがわかった。
そして、ある夜、闇に乗じ、薫君の風を装って忍んで行く。浮舟が事に気付いた時はもう遅かった。
浮舟は、薫君の静かな愛情に引きかえ、情熱的な匂宮に次第にひかれていく。薫君は物思いに沈む
浮舟を見て、一層いとおしく思われた。如月の十日頃、雪の中、宇治を訪れた匂宮は、かねて用意
させていた小舟に浮舟を乗せ、橘の小島に遊び、対岸の小家に泊って一日を語り暮らした。
橘の小島は色もかはらじを この浮舟ぞゆくへ知られぬ
浮舟は、二人の間で様々に思い悩んだ末、遂に死を決意する。
宇治十帖(八)蜻蛉
宇治の山荘は、浮舟の失踪で大騒ぎとなった。事情をよく知る女房達は、入水を推察して、世間体を
繕うため母を説得し、遺骸の無いまま泣く泣く葬儀を行った。薫君も匂宮も悲嘆の涙にくれたが、
思いはそれぞれ違っていた。事情を知った薫君は、自らの恋の不運を嘆きながらも、手厚く四十九日の
法要を営んだ。六条院では、明石中宮が光源氏や紫上のために法華八講を催された。都では、華やかな
日々を送りながらも薫君は、大君や浮舟との「つらかりける契りども」を思い続けて愁いに沈んでいた。
ある秋の夕暮、薫君は、蜻蛉がはかなげに飛び交うのを見て、ひとり言を口ずさむのだった。
ありと見て手には取られず見れば又 ゆくへも知らず消えし蜻蛉
宇治十帖(九)手習
比叡山の横川に尊い僧都がいた。初瀬詣の帰りに急病で倒れた母尼を介護するために宇治へ来た。
その夜、宇治院の裏手て気を失って倒れている女を見つけた。この女こそ失踪した浮舟であった。
僧都の妹尼は、亡き娘の再来かと手厚く介抱し、洛北小野の草庵に連れて帰った。
意識を取り戻した浮舟は、素性を明かそうともせず、ただ死ぬことばかりを考え泣き暮らした。
やがて秋、浮舟はつれづれに手習をする。
身を投げし涙の川の早き瀬を しがらみかけて誰かとどめし
浮舟は尼達が初瀬詣の留守中、立ち寄った僧都に懇願して出家してしまう。やがて、都に上った
僧都の口から浮舟のことは、明石中宮に、そして、それはおのずと薫君の耳にも届くのであった。
宇治十帖(十)夢の浮橋
薫君は、小野の里にいるのが、浮舟であることを聞き、涙にくれる。そして僧都にそこへの案内を頼んだ。
僧都は、今は出家の身である浮舟の立場を思い、佛罰を恐れて受け入れなかったが、薫君が道心厚い人柄で
あることを思い、浮舟に消息を書いた。薫君は浮舟の弟の小君に、自分の文も添えて持って行かせた。
浮舟は、なつかしい弟の姿を覗き見て、肉親の情をかきたてられ母を思うが、心強く、会おうともせず、
薫君の文も受け取らなかった。小君は姉の非情を恨みながら、仕方なく京へ帰って行った。薫君はかつての
自分と同じように、誰かが浮舟をあそこへかくまっているのではないかとも、疑うのだったとか。
法の師とたづぬる道をしるべにして 思はぬ山に踏み惑うかな
こんばんは^^
宇治には、「宇治十帖」にちなんだ古跡が点在しております。
一日で、しかも歩いてこれらすべてを訪ねるのは、不案内な方には
ちょっと難しいかもしれません。
特に「宿木」と「浮舟」は飛び抜けて離れているので注意してください。
自転車で回るのが一番のお勧めです^^
追伸
少々体調が悪いので、本日はこのまま休ませていただきます m(_ _)m
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